春場所11日目終了

 横綱朝青龍と関脇白鵬の全勝同士の対決は白鵬の完勝。土俵下で審判を務めていた九重(千代の富士)も「あれは大関の相撲ですらない。横綱相撲だよ」と誉めちぎったほど。まあ綱はまだ先のステップとはいえ、横綱に完勝し3場所勝ち星も33に乗せ、はや11日目で「大関昇進間違いなし」の当確ランプが点灯したようです。ここから4連敗すれば印象激悪になり持ち越しもあるでしょうが、そもそも今の白鵬が4連敗するなんて、6月に東京で雪が降る確立のようなものです。
 殆どの相手を問題とせず退ける朝青龍が簡単に負けた事で、時代が変わろうとしている……ということを読み取った人も少なくないことでしょう。何はともあれ今場所、白鵬は優勝できるかが一つの焦点となりそうです。

 一方の魁皇
 昨日の琴欧州戦の敗北で私は、琴欧州が本当に強い大関だと再認識しました。魁皇が力勝負で勝てなかったのですからね。そういうわけで魁皇自身が自分の役目は終わったとか思ってしまわないだろうか心配だったのですが……。
 今日は大関栃東に力相撲で快勝しました。それでも5勝6敗。まだ朝青龍白鵬琴光喜+平幕一人を残し、依然勝ち越しは苦しい状況です。避けがたい2敗で引退か……と心中複雑なままTV観戦しているわけですが、今日の勝利に解説の北の富士勝昭は「こんな力が出せるならやめることはないですよ。腰の状態さえ良ければまだ取れる。辞めてもらいたくないね」と言いました。
 しかし相撲界では、一度引退の可能性を口にしたらもう撤回することは原則的にできないのです。それを口にした力士は何人も、そのまま引退してしまったわけで、「負け越しで引退」と言ってしまった魁皇に退路はもはや無……

「負け越しで引退」を撤回 魁皇進退は春場所後に結論
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060322-00000243-kyodo-spo

大関魁皇の引退発言撤回、師匠の友綱親方が釈明会見
http://www.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20060322ie24.htm

 うお、釈明&撤回会見が!
 しかも北の湖理事長も認めてるし。普通こんな事はないのですけれどね、それだけ魁皇がファンに愛されて、そして相撲界の中でもその力を認められている存在ということなのでしょう。
 私はどう思うか? 魁皇のネックはボロボロの腰が全てなのは間違いない。ここから治るということはありえないから、どちらにしても何年も取れるとはとても思えないわけですが、しかし春から夏にかけては暖かくなり、腰痛も治まる時期なのですね。そういう意味では、もし今場所負け越したとしても引退しないで翌場所出場すれば、10勝(大関復帰条件)できる可能性は実際にあるし、そこで10勝できないなら力の衰えについて本人および衆目も納得するんじゃないかと思います。
 まあ、千秋楽を待たずして引退発表がなくなっただけであり、(負け越したなら)その後にやっぱり引退発表という落ちも十分ありえるとはいえ、ちょっとだけ状況は好転しました。私は勿論、魁皇に一場所でも長く取ってもらいたいと願う人間ですから、それは望ましいところなのですが……しかし、それらの判断は残り4日の取組次第でもあります。

 しかし釈明会見は親方的には非常に格好悪いですね。私が格好悪いと思っているのではなくて、相撲界的に恥に近い行為、ということですよん。「負越引退」ということは親方の引退勧告に逆らうための妥協案だったわけですが「全ては魁皇自身に任せる」と親方は考えなおし、恥を忍んでこのような釈明会見に至ったのでしょう。弟子思いです。