朝日OP第3局:光る▲2五飛

 羽生朝日選手権者 対 挑戦者阿久津主税の朝日OP第3局。
 祝日ということでじっくり棋譜検討しながら楽しみました。
 棋譜はこちら→http://www.asahi.com/shougi/kifu25/s070430.html

 序盤から2回も角交換するという珍しい序盤の後、[35]▲3一角打 として馬を早々に作る先手羽生。しかし歩切れということで[39]▲8六歩、[41]▲8五歩、[43]▲8四歩、[44]△同歩、[45]▲同馬 と玉の居る8筋なのに力任せでこじ開けて歩をGET。これは自分にはとても指せませんね。
 しかし[58]△5七歩成で後手の振り飛車側が有利になった感。控え室の検討陣(山崎七段とか)もこのあたりから終盤近くまでずっと後手持ちに。
 ここで[59]▲8三歩打は読んでましたが、△同銀▲5二歩△同飛なら▲4三馬あたりの筋を読んでいたら本譜では△同銀▲8四歩打△同銀▲8三歩打△7二玉と歩の連打で楔の打ち込み。終始この6五の馬が睨みを利かせ続けてましたね。
 [70]△6九角打で後手はっきり形勢いいかとも思ったのですがこの時の駒が足りませんでしたね。と金が寄るも無視して悠然と先手もと金の寄り。[77]▲4四とで銀を得た事で形勢が分からなくなった感がありました。
 [79]▲2五飛が今回の羽生マジック? この後焦るように[82]△7八角成で突撃を敢行するも完全に攻め切れ。待ってましたとばかり[89]▲7八銀打で後手の勝ちは消滅。
 阿久津の読みのミスっぽいのですがそれより終盤の羽生の読みの無駄の無さを誉めるべきですかね。投了図的には大差ですが実際は激戦で大満足でした。だい2局に竜王戦の佐藤戦と連敗した事で今年は羽生の調子は悪いのかなと思っていましたが、やっぱり強いですねえ…。ただ、阿久津も5段とは思えぬ指しまわしで次代の主役に成り得る存在だなあとは感じました。