あらすじ本は知識の書であり文学ではない

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040107-00001076-mai-soci
 要約はあくまで知識の書であり、文学性があるとは言われない。神は細部に宿るものです。しかして、良書の思想や主張に少しでも触れられる事は有益であるし、実際私なんかはこうした本を手引きに、原典を読もうと思う人間です。あらすじ本を読んで一冊も原典に接しないのはやっぱりちょっと、と思いますが、100冊の本が紹介されていて、99冊が読まれなくても、1冊が読まれたならばそれはもう充分役割と果たしたと私は考えます。要約本で原典も読んだ気になってしまってはいけませんが、基本的にはこのブームはいまの活字離れの時代には良い事なのではないでしょうか。
 というか、活字離れ、つまり文字を読むのが嫌というその背景には、そうした本が自分にためになる、心の糧になるということを知らないか、あるいは知ってはいても自分には必要ないと思い込んでるからなんでしょうね。そのくせ、人は他人から信頼や好意を常に持たれたいと思っている。しかし、そういう人間になるためにこそまさに、読書などによって心を豊かにしなくてはならないのですが。私は知識人ぶるつもりはありませんが、無学、無教養な人が確かにあまりに多い。教養めいた話題を出すとインテリ呼ばわりされる風潮がある。教養なんて、頭がいい悪いの問題以前、文学教養を身につけようと思うか思わないかの問題です。
 まあ、難しい本は一読しただけではその内容を理解できるものじゃないですし、前提知識が色々必要になる場合もあります。しかし、いろんな良書を読み続けていけば、ジグソーパズルのように、少しずつ、その全体が自分の物になっていくのです。