斎藤メモリアル3 - 第88回高校野球選手権大会総括(5)
今大会の斎藤の凄いところは、1人で7試合すべて投げきり、失点も少ないまま優勝してしまったことにつきます。彼に代わるべき投手がいなかったから仕方なくそうなったためとはいえ、近年こんな鉄人ぶりを発揮した投手は殆どいません。かの「怪物」松坂ですら、PL戦の翌日は他の投手に大半を任せていたわけで。しかし実はこの松坂の年の決勝の相手であった京都成章の古岡投手が全試合に投げていました。まあ決勝で松坂に負けたというかよりにもよってノーヒットノーランで負けたわけですが、それでもあの年の横浜相手に3点しか取られなかった。当時のニュースでは「スターのような選手のいないチームがコツコツ勝ちを積み重ねてきたが、最後の最後で、怪物に負けた」みたいなことを言っていましたが、決勝までに積み重ねた三振数も松坂を上回っており、今考えるとこの吉岡もかなりの化物投手だったと言えます。松坂がもしもこの年に居なかったなら、主役として称えられていたのは古岡だったことでしょう。ちなみにこの古岡、中大で活躍したあとは社会人野球のほうで今も頑張っているとか何とか。
まあ、松坂をちょっと挙げてしまいましたが、松坂と斎藤を同じ秤にかけるつもりはありません。早実と苫小牧の決勝は言ってみれば「高校生チームの対決で、なぜかプロの投手が投げ合っている」という感じだったわけですが、松坂横浜の試合については「高校生チームの対決で、なぜかプロ球団のエースピッチャーが投げている」という感じだったわけで。10年とか20年に1人の逸材という表現が当時から使われましたが、実際いまその通りなわけで。
田中将大 48試合32勝2敗 防御率1.46 286イニング奪三振394
松坂大輔 59試合40勝1敗 防御率1.12 379イニング奪三振423
松坂の成績は明らかに異常なのですが、数値で見ると田中もかなりの逸材ぶり。斎藤くんの通算成績データは手元に無いのですが、まぁ本格的に覚醒したのは今年からですしね。代わりに甲子園限定の成績データを置いておきますか。
田中将大
06夏のみ 6試合 52.2イニング 三振54 失点15 自責13 防御率2.22
05春05夏06夏通算 12試合 91.1イニング 三振102 失点27 自責21 防御率2.07斎藤佑樹
06夏のみ 7試合 69イニング 三振78 失点10 自責9 防御率1.17
06春06夏通算 11試合 106イニング 三振104 失点26 自責20 防御率1.70
比較コメントは特にいらんと思うので略。