TRPGのGM(ゲームマスター)経験はいいぞよ

 物語をどうやって考え、構成するか? いろんな発想法、そして構成法、記述法があるのですが、TRPG経験、特にプレイヤーよりもGMの経験(実際は両方経験している事が望ましい)はお話を書くのに大変に役立つものです。(TRPGとは何か?については各自調べてね)
 GMはセッション(1日のTRPGの集まりの事)のためにシナリオを考えなくてはいけません。このシナリオは、かなり筋書きが決まっているものもあれば、かなり多くをプレイヤーの意思に任せるというものもあります。ある程度慣れてきたGMは、参加するプレイヤーの行動をある程度予測することができます。この予測というのは可能性の列挙です。そして、それぞれに対するリアクション、あるいはシナリオを想定するわけですが、その結果、非常に柔軟かつ広がりのあるシナリオが出来上がるわけです。世界観として豊かであると言う事もできます。TRPGはまず舞台があって、その上で人間などが行動するものですが、彼らは舞台の制約を強く受けます。まず世界観ありきという世界と言えましょう。
 これに対して、お話の中には、どう見ても人間ドラマが先にあって、最後にそれを演ずるに最も良さそうな世界を選んで使っているものがあります。こちらは人間が先にありきの世界と言えましょう。どちらがお話として面白いかという判断は別として、味わい深い物語は恐らく前者と思われます。
 さて、GMはプレイヤーの行動を予め予測すると言いましたが、「そのプレイヤーの個性、趣向を読む」事と「プレイヤーキャラクターとしての当然成すであろう行動を読む」の二つに分解されます。後者は小説を書いて自動的に思いつくような事ですが、前者の気まぐれを予期するためにはそのプレイヤーの狡智、知識、感情、性向を考慮する必要があります。素人GMはここに翻弄されて下手くそなセッションになりがちですし、慣れているGMだって、こうやって色々と考えているにも関わらず、全く意外な行動を取られて毎回のように戸惑うものです。これだけ色々想定していたのに戸惑わされ、確かに理屈は通っているなと判断した場合、つまりそれは自分が小説では書けなかった行動に他ならないわけで、こういう状況に出くわすたびに、何かとても儲けものをしたような気分になったりもするのです。ついでに言うと、読み手は意外性があって尚且つ理屈の通るお話を好みます。だとしたら、そうした彼らの行動について吸収していく事はうってつけではないでしょうか。時々、神がかった面白さを持つセッション、或いはリプレイ小説に出くわす事がありますが、それはやはりGMのシナリオ能力(これが重要なのはいまさら言うまでもないとして)だけでなく、そうした意外性から生み出される自然なプレイの成せる共同のアートなのです。
 ……つーわけで私もTRPGやりたいんですけどね、時間がないわ人は居ないわ。ネットTRPGは進行速度のろいわプレイヤーがAFKになるわでいまいちやる気にならないし。そういやNWNなんてものもありました……結局まだ買ってなかったなあ。