11月場所終わって(1)

 昨日で大相撲11月場所も幕を閉じました。14日目で既に朝青龍は優勝を決めており、今日は魁皇若の里の勝敗に焦点が集まりました。
 結び前の一番、若の里-千代大海若の里千代大海を大の苦手としていましたが、今日もこの合口がそのまま出たような相撲でした。迷い無く突っ張りで突き押す千代大海の角度良く、若の里は張った手を下から跳ね上げようとするも勢い止まらず、組みとめることもできないまま土俵を割りました、千代大海の完勝。突きを真っ向から受け止めて回しを取るなり、手を跳ね上げる際に若干引っ張りいなし気味にするなどの工夫が必要だったのではないかと見ていて感じました。若の里はかくして終盤3連敗で11勝止まり。それでも来場所は大関取りの場所で、「目途は12勝」と指示が入りました。12勝は若の里は結局1度も達成できてない勝ち星でして、つまり高いハードルとも言えます。しかしニュアンスからして、おそらく11勝でも昇進させるでしょう。10勝では当然無理ですが。
 結びあるいは千秋楽:朝青龍-魁皇。この日の取り組み前に「魁皇の綱取りはまだ終わっていない。今日勝てばあるいは」という発言が偉い方々からあり、否が応でも雰囲気は盛り上がっていました。私は「今日勝っても12勝、しかも優勝すらしていないのだからなぜ横綱?」と否定的だったわけですが。ともあれ結びの一番はまるで優勝決定戦、いやそれ以上の大歓声に包まれました。そして場にそぐわない手拍子の大音声。手拍子はやめれ、と思いつつも福岡のファンの魁皇にかける思いが伝わってきました。
 さて取り組みですが、立会いから魁皇すぐに黄金の右上手を取り下手を探ります。右上手をがっちり引かれたことで朝青龍もすぐに動く事ができず、そのうち魁皇は左下手(前褌に見えてた…)も取って万全。すると間断なく一気に前に寄りきろうとする。朝青龍は驚異的な粘り越しで一度押し返すも、魁皇も渾身の力を込め、横綱は諦めて力を抜き土俵を割りました。その横綱の表情からは悔しさが伺えず、非常に落ち着いた態度。思わず「ドルジ優しいな・・」とつぶやいてしまいました。手抜きしたとまでは言いませんが、取組前の魁皇にかかる大歓声に闘争心を少なからず失っていたのではないかと感じました。これは勝手な推測ですが、大歓声に「魁皇という力士はとても好かれてるんだなあ」と朝青龍も強く感じた事でしょう。朝青龍はそういえば「魁皇には横綱になってもらいたい」とも言っていたとか。大海が魁皇に抱いているような尊敬とは別物としても、横綱にもその存在感は認められているということですね。
 さて、優勝力士は普通、千秋楽に負けると、少なからずショボーンとするものですが、今日の朝青龍は違いました。賜杯を抱き、優勝インタビューの後、誇らしげな笑みを浮かべました。今日の敗戦についての後悔めいた表情は見られませんでした。年5場所優勝という偉業を成し遂げた事実だけでも上機嫌になっていたというのもあるでしょう。
 で、魁皇の昇進については見送られる事になりました。まあ、それは良いんですが、万全の相撲で勝っても見送りという結果は、「じゃあ気を持たせるような発言はやめれ」と思いました。結果的に魁皇の集中力を高めたのだとは思いますが、肩透かしですよねえ…。
 見送りと言っても持ち越しだそうで、来場所13勝以上で無条件確定的のようです。12勝については言及がありませんが、その場合でも3場所通算37勝というのは、今度は横綱に推挙されてしまう可能性もありますね。まあ、楽しみが1場所持続したということで、来場所の魁皇を楽しみにすることにします。初日と琴光喜戦に要注意!あと腰痛か…。でも、今年の魁皇は全6場所皆勤ですよ。10-13-10-11-13-12の合計69勝で、年間勝利数2位(1位は大差で朝青龍)。全て二桁というのは大関としては立派すぎる成績ですね。
 来場所はわたしは無職になっているので、その気になれば毎日見にいけるぞ!……いやまあ、入場料も高いので、さすがにそれは無理ですが、魁皇の快進撃が続いたとしたら3回、4回と見に行くかもしれません。