まあ法的には責任はないと向こうは必死につっぱねるだろうけどさ

"情報流出「Winnyは関係ない」開発者が裁判で主張"
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060309-00000312-yom-soci

 確かにWinnyはツールでしかないし、漏洩の直接原因は悪意あるウィルスによるものですが、もし金子氏がこの記事にあるように「本質的にウィニーは関係ない。そのように報道されるのは残念だ。情報が外に漏れるということは昔からあったが、ウィニーによってネットワーク全体に広まることで、逆に発見することが容易になった」などと言ったのなら、少々首を捻らざるをえない。
 従来洩れるケースの多くは、うっかりなどの過失を除けば、それを洩らしてしまう人間がいて発生するものです。ところがこのWinnyの関わった情報漏洩問題は、確かにWinnyを使う人間の責任であることは当然としても、洩らそうという意思がまったくないにも関わらず自動的に漏れてしまっているから厄介なのであり、そしてまた広がってはいけない範囲に一瞬で広がってしまうわけで、それを容易になった等と自己評価めいた表現を使うにはちょっと不適もいいところかと。情報というものは漏れうるものであるという命題については確かにウィニーは本質的に関係ないにしろ、現在起きてる問題の深刻性には本質的に関係あると言えます。
 もちろん金子氏はWinnyウィルスとは無関係であるため、彼に漏洩の法的責任があるとは私も考えませんが、他人事とされても困る。
 科学に善悪は無いとかよく言われますが、ツールは製作者の意図を反映して作られた作品です。本に良書と悪書があるように、作品には良いものと悪いものがやはりあります。勿論良い効果を生んだことも認めるにしても、Winnyがもたらしたものは今まで、膨大な著作権侵害と深刻な情報漏洩被害。多少なり彼には罪が言い渡されても止む無いでしょう。
(まあネットプロトコルそのものが膨大な著作権侵害を生み出しているとも言えるので、これはWinny固有の問題ではないんですが、ただしウェブでの配布に比べて匿名性が高いことがWinnyの基本的特徴であり、これがために著作権無法地帯の温床になったわけですね)