春場所総括(2)

 優勝は13-2で朝青龍。今場所はあまり動きはいいとは言えなかったものの結局優勝してしまうわけですから凄いものです。白鵬大関に上がったことで刺激になる部分もあるでしょうから、来場所はしっかり体調を整えてくるんじゃないかなと思います。怪我さえなければゆうに5年は綱は安泰だとは思います。ただ、栃東をほんとに苦手にしているようですね。優勝が掛かる一番、まさか白鵬と戦いたいからという理由でわざと負けたわけでもあるまい。横綱の間合いがいまのところ通用しない相手なのだと思います。横綱得意の投げも栃東相手には簡単には決まりませんし。
 まあ、かくいう栃東ですが12-3。綱張るには若干力不足の感があるのですが、それでも今が全盛期という感があります。大関昇進直後の不安定さはもう過去の事ですね。負けた相手は安美錦雅山魁皇の3人のみ。白鵬朝青龍も破りました。結果的には安美錦戦の取りこぼしが痛かったですね。甘口裁定で綱とりは来場所に繋がったらしいので、来場所これ以上の相撲が取れるかどうか。体調のせいかプレッシャーのせいか、先場所に比べると押し込まれる局面が多かったので、それらを克服できるかがカギになりそうです。あとは苦手の魁皇戦。最近は勝つこともありますが、十数連敗していた時は「何をやっても勝てる気がしない」と漏らすほどでしたし。実際はいまの魁皇は腰の粘りがないのでおっつければそのまま持っていけるわけですが、今場所は精神状態の差のせいで苦手意識の方が出てしまったようですね。
 琴欧州大関二場所目の成績は9-6。優勝争いに絡む事も無く、魁皇を除く上位級すべて(+白鵬)に負けましたが、膝の怪我が酷い中で9番勝てたのはさすがと言うべきか。14,15日目はさらに悪化させて相撲を取れる状態でなくなってしまいましたが、来場所までになんとか治して復調してもらえればと思います。9日目の魁皇戦はこれぞ大関同士という今場所推薦の一番でした。
 優勝同点の白鵬(13-2)。殆ど全ての取組において完勝し、10日目の全勝対決で朝青龍を難なく倒した時は「強すぎる!」と全勝すらも予想できていたほどでした。大関昇進となりますが、むしろ遅かったくらい。朝青龍やら琴欧州が居る中での2場所連続優勝はそれなりに難易度が高いですが、横綱に昇れる器であることはもう疑いえません。そのはずが栃東戦では明らかなプレッシャーで硬くなっていいところ無く敗れ、魁皇戦でもプレッシャーやら心の躊躇に負けて完敗。落ち着きは一見堂々としてますが、やはり重圧を感じる人の子ということですね。白鵬横綱云々の前にまず一度優勝し(そもそも優勝しないと横綱になれませんけれど)、不惑の心を会得することが必要になるでしょう。
 魁皇。千秋楽の白鵬戦は、魁皇への応援だらけで白鵬も「取りづらいよ……こんな声援の中で倒しちゃったら悪役決定じゃないですか><」と躊躇したわけですが、かくいう魁皇も過度の声援はプレッシャーを感じてしまう方で苦手な面もあるようです。しかし今場所は声援をしっかり受け止めて、後半焦ることなく相撲を取りきりました。魁皇の勝ちパターンとして前に挙げた「重心低めに斜め上に前に出る」「右上手を取る」攻めがしっかり出せたのがこの結果に繋がったようです。
 で、5月や7月は時期的には腰痛は若干楽になる時期でもあり、もう一度強い大関として活躍するチャンスでもあります。体調のせいで稽古も十分にできていない日々が2、3年続いていますが、人生最大の苦難を乗り越えたわけですから、ぜひしっかりと体調を整えて、優勝目指して頑張ってほしいです。両国開催の5月場所、今後こそ途中休場なんてことはしませんように。強い魁皇を楽しみに両国に通ってるのに、両国の時に限って謀ったかのように途中休場ですからね。

参考↓

平成17年 1月 東大関  4勝 6敗 5休(左肩腱板炎)
平成17年 3月 西大関 10勝 5敗
平成17年 5月 東大関  5勝 1敗 9休(腰部筋筋膜炎)
平成17年 7月 西大 2 10勝 5敗
平成17年 9月 東大関  4敗11休(右大腿屈筋筋繊維断裂)
平成17年11月 西大 2 10勝 5敗
平成18年 1月 西大関  3勝 6敗 6休(腰部椎間板症)
平成18年 3月 西大 2  8勝 7敗

※1,5,9月が両国開催